大切な想いが伝わらないのはなぜ? ――観点の違いから始める安心のコミュニケーション

mother and daughter arguing
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一番身近な人に、自分が一番大切にしていること――人生を揺るがすほどショックを受けた出来事や、自分にとって欠かせない価値観――を話したとき。返ってきた言葉は、
「なんでそんなことで落ち込むの?」
「気にしなきゃいいじゃん」

その瞬間、胸の奥にある痛みや大切さが、まるで軽く押し流されたように感じる。私にもそんな経験があります。

「私の想いは、やっぱり誰にも伝わらないのかもしれない」

絶望感に包まれ、伝えること自体にフタをしてしまったことは、誰しも一度は経験があるのではないでしょうか。

自分の大切な想いは、どう伝えれば相手に届くのでしょう。

伝わらない原因を探っていくと、意外な真実が見えてきます。
多くの場合、原因は「伝え方の下手さ」や「相手の冷たさ」ではありません。

もっと根本的には、観点の違いと言葉のイメージの差があります。

たとえば、取っ手のついたコップを思い浮かべてみてください。
ある角度から見れば取っ手が見えるので「コップ」に見える。
でも反対側から見れば取っ手は隠れ、「湯呑」にしか見えません。

同じものを見ているのに、互いに「コップだ」「いや、湯呑だ」と主張すればケンカになります。
これが、私たちが伝えたい想いを共有しようとしたときに起きる現象とそっくりです。
相手はただ違う角度から見ているだけ。

でも私たちは、「自分の大切さや痛みが否定された」と感じてしまうのです。

では、私たちは本当は何に傷ついているのでしょうか。
それは「理解されないこと」そのものではありません。

本当に求めているのは、シンプルで温かいことです。
「自分が大事に思っていることを、大事な人と共有・共感したい」

評価されたい、正しいと認められたい、ではありません。
ただ、自分の大切な思いを、相手と一緒に感じたいだけ。

だからこそ、「わからない」「興味ない」と返されると、胸がキュッと締め付けられるのです。

伝わらないことに直面したとき、私たちはつい自分や相手を責めてしまいがちです。

「もっと工夫すれば伝わるはず」
「どうして分かってくれないの?」

でも本当は、言葉のイメージの違いが大きな要因です。

「自由」という言葉ひとつとっても、人によって結びつく体験や感情は違います。
ある人にとっては「旅をすること」かもしれません。
別の人にとっては「経済的に安心していること」かもしれません。

同じ言葉を使っていても、心の中で描くイメージはまったく違う。
その違いを知らずに「どうして伝わらないの?」と悩むのは、まるで別々の地図を広げて同じ場所に行こうとしているようなものです。

だからこそ、まずは相手がどんなイメージを持ってその言葉を使っているのかを丁寧にたずねてみる。

そこから初めて、共鳴できる観点が見えてきます。

ここで大切なことがあります。
従来のやり方――自分の観点の枠内で相手と理解し合おうとするやり方――では、永遠に分かり合えません。
同じ地図上で位置を探しても、相手の地図とはズレているからです。

だからこそ、一度観念することが大切です。
「今までのやり方では分かり合えない」と認め、脳の外に出る。
ゼロから始められる「オールゼロ化」の感覚を持つこと。

ここで役立つのが 【認識技術】nTech です。
nTech は、私たちの観点のクセや思い込みを可視化する方法、ゼロの状態で相手と向き合う方法を教えてくれます。
この土台があれば、無理に理解してもらおうとせず、ありのままの想いを届けられるのです。

伝わらないことに直面しても、それは自分の価値が否定されたわけではありません。
ただ、観点や言葉のイメージが違っただけ。

その事実に気づくだけで、少しホッとします。
そして、ゼロの状態で向き合えるとき、私たちは自分の想いを大切にしたまま、新しい対話を始められるのです。

「伝わる/伝わらない」に振り回されず、相手と自分、両方を責めずに、安心して想いを分かち合える――
そんな世界が、少しずつ現実になる。
それを可能にするのが、nTech で学ぶ「ゼロ化」なのです。

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