無意識のあきらめを超えるには?―「やる気が出ない自分」の奥にある真実 ―

最近、心が動かない。
がんばりたい気持ちはあるのに、体が重くて動けない。
以前のようにワクワクしない。
そんな自分を「怠けてるのかも」「年のせいかな」と責めてしまうこと、ありませんか?

一方で、いつも前向きでテンション高めの人を見ると、なぜかイライラしたり、「そこまでがんばらなくても」と冷めた気持ちになる。
でも本当は、そんな自分を一番冷めて見ているのも自分自身だったりします。

その奥にあるのが、“無意識のあきらめ”です。

「あきらめる」という言葉には、本来「明らかにみる」という意味があります。
でも多くの人が日常で使う「あきらめ」は、そうではなく、「どうせムリ」「やっても変わらない」という心のストッパーとして働いています。

しかもやっかいなのは、このあきらめは自覚されにくいということ。
「やる気が出ない」「自分が何をしたいか分からない」「感情が動かない」という形で、静かに現れます。

それは、“希望を持って傷つくくらいなら、最初から期待しないほうがいい”という、
心の防衛反応でもあるのです。

心理学では、これを「学習性無力感」と呼びます。
心理学者マーティン・セリグマンの実験によれば、何度も「がんばっても報われなかった」経験をすると、
人は「どうせ何をしてもダメ」と感じるようになり、行動しなくなる傾向があります。

たとえば、子どもの頃に「どうせお母さんには分かってもらえない」と感じた体験があると、
大人になっても「自分の気持ちは伝わらない」と無意識に思い込んでしまう。
その結果、言葉を飲み込んだり、挑戦を避けたりするようになります。

nTech(認識技術)でいえば、それは自分の「観点」から生まれる思考と感情のアルゴリズムの結果です。

「失敗 → 否定 →自己評価の低下 →行動の萎縮」という、
ある意味“自分の中で自動運転されているプログラム”のようなもの。

だから、あきらめは意志の弱さではなく、
自分の中の情報処理のパターンといえます。

ここで大切なのは、「あきらめないようにがんばる」ことではありません。
むしろ、「自分の中で、どんな出発からあきらめが生まれているのか」を見ること。

nTechの視点では、
「どんな現象も、観点が生み出している」と考えます。
つまり、「自分がどんな観点から世界を見ているか」によって、感じ方も、行動も、結果も変わる。

たとえば、
「うまくいかない=自分が足りないから」とみる観点からは、
挑戦するほど“自分の欠点”ばかりが見えてしまう。

でも、
「うまくいかない=新しいやり方を発見するチャンス」とみる観点からは、
失敗は自分を否定する材料ではなく、成長の材料になります。

このように、出発点となる観点を明らかにみることが、
無意識のあきらめを超える第一歩です。

あきらめは「出発の誤解」から生まれます。

私たちは、出来事を“外側の結果”から判断しがちです。
「失敗した」→「自分はダメだ」→「どうせ変わらない」と、
気づかぬうちに“自分が原因で限界が決まる”という観点に立ってしまう。

でも、nTechでは、
「人間を含むすべての存在の出発点=無限の可能性そのもの」
であることが、明らかに【認識できるように】なります。

そう。これは認識の問題なのです。
~認識が変われば、世界は変わる~

つまり、「私はダメ」という観点は後から学習された情報にすぎず、
出発の本質は“可能性”そのものなのです。

この「出発点」を正しく理解することで、
あきらめのアルゴリズムを反転させることができます。

実際に、セッションの中でもこんな気づきがよくあります。

「やる気が出ないのは、怠けてたからじゃなくて、
どうせ変わらないってどこかで思ってたんだって分かりました」

この瞬間、表情がふっとやわらぎ、
冷めていた心に少しずつ血が通い始めるのです。

気づきは、“希望の種”をもう一度拾い上げる行為。
気づくことで、あきらめを「終わり」ではなく「始まり」として見直すことができます。

無意識のあきらめは、
過去に感じた痛みや、報われなかった思いがつくった“心の鎧”です。

その鎧を責めず、ただ「そうやって自分を守ってきたんだね」と理解してあげること。
そして、その内側にある本当の願い ― 「本当は、あきらめたくなかった」 ― に出会うこと。

そこから、あきらめを超える旅が始まります。

  • 無意識のあきらめは、防衛反応であり、自動的な心のプログラム
  • 心理学では「学習性無力感」、nTechでは「観点のアルゴリズム」として説明できる
  • あきらめを“明らかに見る”ことで、出発点を見直すきっかけが生まれる
  • 出発のリテラシー(「可能性が出発」)を理解することで、あきらめは反転可能
  • 気づきは、再び希望を取り戻す第一歩

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