新渡戸稲造の「武士道」を読んで、章ごとに、気づいたこと・感じたことを綴っています。
今日は第十章。
この章は、『武士の教育および訓練』について書かれています。
この章で心に残ったのは、知識は武士にとっては付属物であり、重要なことは行動である、というくだり。
武士は、本質的に行動の人。
ですから、そこに従って、教育・訓練の項目がありました。
主なものは、撃剣、弓術、柔術もしくは柔ら、馬術、槍術、兵法、書道、倫理、文学及び歴史等。
ここに、数学が入っていないのは、金銭に執着すること(儲けること、蓄財すること等)は、賤しいこと、という考え方があったためのようです。
ですから、貨幣の計算は下役人の仕事だったとか。
士農工商の身分制度にもそれが表れていますね。
ですから、武士の世では、諸外国に比べて公吏は腐敗から自由で(時代劇では必ず悪代官が登場しますが)、日本に拝金主義が芽生えたのは、明治以降。
武士を教える師についても、生徒にお金は要求しないことが通例で、清貧に徹し、神聖な仕事として尊敬を集めていたようです。
今の日本人は、武士とは反対に、行動よりもどれだけ勉強ができるか、偏差値が高いか、という知識の方が重視されているように感じます。
体を動かす教科は体育のみ。そして、理数系に秀でた人の方が就職にも有利で、給料も高く収入も多い。といったイメージもあります。
ただ、「頭でっかち」と言われるように、心技体のバランスが悪い人材は、結局仕事をこなすときに柔軟な判断ができずに、不都合が生じつケースも多くあります。
頭でっかちに偏りやすい現代人、日常でも、なるべく「行動」を重視してバランスをとっていきたいものです。
今日も読んでくださってありがとうございます。